大学時代の卒業論文は
“アパレル産業における今後の展望”
英米文学科国際経営という専攻とは
かなりかけ離れたテーマでした。
大学1〜2年のころ
中学時代の親友と
洋服のお店を作ろうと語り合い
2人で郵便貯金を始めたことが
事のはじまり。
そして彼が見つけてくれた
下北沢の洋服屋「Boston」のバイトが
この仕事の楽しさを最初に教えてくれました。
店内はトラッドを中心に
カジュアルからシャツ、スーツまで
幅広いアイテムを扱うお店で
「CRIMSOM」というレディースが隣にあり
店の中央で繋がっていました。
「いらっしゃいまし・・・」
独特な挨拶が昭和観を滲ませる
おじいちゃんオーナーと
休憩時間にケーキ等のおやつ振舞ってくれる
やさしい奥さまがそこに居ました。
そして同い年の男の店長と
1つ上の女性スタッフが2人
同い年の先輩女性スタッフか1人という構成でした。
年の近い先輩スタッフたちから
ファッションや接客の仕方
お洒落な洋楽アーティストなど趣味のことまで
色々と教えてもらいました。
当時の私と言えば
「いらっしゃいませ」と
「服を広げてください」が
か細い声でギリギリ言えるような
ポンコツ店員からのスタート。
なんとか知識を付けながら
皆について行っていました。
そして本当にそこでのバイトが大好きになり
3年生の終わりに就職したいと
思い切ってオーナーに掛け合いました。
しかしながら下北沢の高架下工事の影響で
長くは続けられないからと
やんわり断られてしまいました。
それでも仕入れ先のシャツブランド
「オーヘンリー」の営業さんから
ウチに来ない? という誘いをもらい
そのまま就職することになりました。
そこからアパレルを生業とする
私の生活が始まったのです。
のちに「Boston」の同年代店長とは
2度目の就職先、L.D.B.(エルデーベー)を
5年勤めたあと
彼が下北沢で独立開業した店でもお世話になりました。
(その話は 10周年ブログ にてご紹介)
話はもとに戻ります。
バイトやお金は貯めていたものの
お店を作るという目標に対して
具体的な動きが出来ていなかったことに
大学時代の自分は何かあせりを感じていました。
そんな自分を変えたくて
憧れだったフランスへ
はじめての1人旅を決断。
それまで国内旅行すら
1人で旅をしたことのない自分にとって
大きな冒険となりました。
予備知識も無く向かった
パリ市内は見るものすべてが新鮮。
街並みを歩くだけで気分が高揚したのを
昨日のように覚えています。
美術館のような建物の A.P.C.(アーペーセー)
後に勤める LOFT design by…(通称 L.D.B.)
路地裏のセレクトショップやノミの市
高級ブランドショップまで
ありとあらゆる洋服のお店を見て回りました。
そう、まさにフランスは
私の考えを地で行く国でした。
アメカジやブリティッシュも
やり過ぎがなくシンプル
着る人の個性が街に自然と溢れています。
日本で作られたフレンチファッションではなく
フランス人が着たリアルクローズが
私は好きなのです。
このフランス滞在をもとに書いたのが
冒頭にご紹介した卒業論文です。
今あらためて読み返すと
稚拙な文章ではありますが
それは ACOO のコンセプトそのまま。
流行に左右されない本当に良いもの
高級でもなくロープライスでもない
もっと適正な価格帯があるのでは?
そんな内容でした。
当時の自分
やってやろう感が顔に出ていて
今見るとお恥ずかしい限りです・・・
フランスに着いた初日のホテルで
非常階段に出てしまい建物に入れなかったり
まんまと見知らぬ外国人に服を売りつけられたり
若気のいたり満載の旅でした。
本日 ACOO(アコオ)20周年
沢山の方々からお力をいただき
お店を続けられること、深く感謝しております。
学生時代の憧れをそのままに進んできた
まだまだ未熟な私ですが
支持してくれる皆さまに楽しんでいただけるよう
これからも成長していきたいと思います。
皆さま、本当にありがとうございます!!
そして変わらぬご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。
ACOO TOKYO 飯島 直哉
(本日は定休日ですが、記念日のため更新いたしました)